書籍の紹介:モチベーション3.0
なぜモチベーション2.0では上手くいかないのか
では、なぜモチベーション2.0では上手くいかないのでしょうか。 それは、社会のシステムが大きく変わったことが原因です。
先進国の多くは、毎日同じ作業を行うルーチンワークの仕事(例;工場の流れ作業)が少なくなり、 誰も今までに同じ仕事をしたことが無い、クリエイティブな仕事(例;企画)が多くなっています。 その比率は、例えばアメリカでは3割がルーチンワークで7割がクリエイティブな仕事なのです。
クリエイティブな仕事においては、今までのモチベーション2.0の考え方では上手くいきません。 例えば、無料だった輸血に対して報酬を付けると、かえって輸血が減ることが実験により確かめられています。 報酬を与えることで、好意で行っていたり遊び感覚で行っていたもの(やりたいこと)が仕事(やらなくてはいけないもの)に変わってしまうのです。
モチベーション2.0では上手くいかない7つの理由
他にもいろんな理由がありますが、モチベーション2.0では上手くいかない理由として、以下の7つを挙げています。
- 内発的動機づけを失わせる
- かえって成果が上がらなくなる
- 創造性を蝕む
- 好ましい言動への意欲を失われる
- ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長する
- 依存性がある
- 短絡的思考を助長する
ここでは本書より一例を挙げて説明したいと思います。 例えば、数学の勉強をさせようとして問題集を1ページ終えるごとにお小遣いを与えたとします。 すると、その子はほぼ確実に、短い間なら熱心に勉強しますが、 長い目で見れば数学そのものへの興味を失います。
なぜならば、報酬を与えるということは、暗に「数学は報酬をもらわないと出来ないような、面白くないものなんだよ」というメッセージを与えることになります。 つまり、面白い「遊び」から面白くない「仕事」に変わってしまうわけです。 面白くない仕事を率先してやりたいとは思いませんよね? このように、短期の成果ばかりに注目し、他人の行動をコントロールしようとするならば、 実際には長期的に少なからずダメージを与えることになります。
保護者の皆さん、子供へ「勉強したら○○をあげるよ」などと言っていませんか? その一言が、お子さんの長期的な勉強への意欲を削ぐ原因なのです。 勉強はルーチンワークではなく、クリエイティブな作業です。
それでは、新しいモチベーションの持ち方であるモチベーション3.0はどのような考え方なのでしょうか?