書籍の紹介:モチベーション3.0
3種類のモチベーション
本書では、モチベーションを3つに分けて紹介しています。 ソフトウェアのバージョン表記に習い、1.0、2.0、3.0と表記しています。
モチベーション1.0
人間の歴史がまだ浅かったころ、例えば5万年前ほど前の人間は、人間の行動は生理的動因、つまり生き残ることでした。 つまり、自分の身を守り、命をつなぐために食べることが行動する理由だったのです。
この考え方は非常にシンプルですが、人間の社会がより複雑になるにつれて、徐々に機能しづらくなりました。 例えば、生きるために人を殺したり人のものを盗んだりすることは、モチベーション1.0では正しい行動ですが、社会的な生活を営むことは出来ません。
モチベーション2.0
そこで新しい考え方が出てきました。 それがモチベーション2.0です。 モチベーション2.0を一言で表すと、「アメとムチ」の動機付けです。
つまり、相手が望むような行動をすれば見返り(アメ)を与え、逆の場合は罰(ムチ)を与える、非常に管理的な方法です。 対象者の外から刺激を与えて動かすやり方で、いわゆる「外発的動機付け」と呼ばれています。 この考え方の根底にあるのは、①自由を与えれば人は怠ける②作業はルーチンワークである③人間は富を最大化しようとするという思想です。
これは過去200年間、つまり産業革命以来広く通用した方法で、これを読んでいる方の中には当たり前すぎて意識していない方もいると思います。
モチベーション2.1
しかし、20世紀が進むにつれて、この考え方では経済の複雑化に対応できなくなってきました。 そこで、細かく管理をすることをやめて、従業員により大きな裁量を与える方法が開発されました。 例えば、フレックスタイム制や服装の自由化がそうです。
しかし、これは全く新しい考え方というよりも、ささやかな改善、つまりモチベーション2.1にしかなりませんでした。
モチベーション3.0
そこで出てきた新しい考え方が「モチベーション3.0」です。 この考え方を一言で表すなら、「ワクワクする自発的な動機付け」です。 この考え方の根底にあるのは、①自由を与えれば人はやる気が出る②作業はクリエイティブなものである③人間は目的を最大化しようとするという思想です。