指導例「頑張ってはいるけれど…」
生徒情報
- 学年 … 高2女子
- 成績 … 中の下
- 進路 … 大学進学
- 学部 … 未定
- 職業 … 未定
- 趣味 … 無し
うちの子は出来ない子なんですか?
最初の面談に伺ったとき、お母様が最初におっしゃった言葉は、「うちの子は出来ないんでしょうか?」でした。今までお子さんには良いと思えることは何でもしてきたのですが、小学生くらいまでは良かったものの、中学生になってからだんだんと成績が下がり始め、高校になると下から数えたほうが早くなってしまったとのことでした。成績が上がらないこともそうですが、もう打つ手が無いということに危機感を抱いていらっしゃいました。
勉強時間を聞くと、一日当たり1.5時間位とのこと。お母さんは「これでは少ないですよね?」とおっしゃっていましたが、お子さんはこれが精一杯の努力だと言っていました。お話している時に、お母さんからは「頑張りが足りない」、お子さんからは「これ以上は頑張れない」という言葉の掛け合いが何度もありました。
一番注目すべき点はどこか
勉強に時間をかければ成績が上がると思われている方は多いですが、これは正しいとはいえません。勉強に対する動機が生まれるから勉強をする時間が増えて、結果として成績が上がるのです。勉強に対する動機が無いのに、勉強する時間を増やしても勉強の密度は薄くなるばかりで、結果は上がりません。
つまり、一番注目すべき点は、お子さんが勉強する動機はどこにあるかです。
ご家庭の状況
そこで、お子さんの小学生の頃の状況を伺いました。すると、お母さんは「とっても出来る子で、何でも1番でした」と嬉しそうにお話されていました。しかし、一方でお子さんのほうは沈み込むばかり。
このパターンはよくお見かけするのですが、お子さんは素直でお母さんの期待に答えたいと思っているのですが、一方で自立しようともがいている、いわゆる「反抗期」なんです。
いろんな「反抗期」がある
反抗期にもいろいろあるのですが、お子さんが自分自身に関して決めることが出来ないと感じたり自分の意見の通し方を知らないと、無意識に成績を下げるという形で反抗期が現れることがあります。
お母さんにして頂いた事
お母さんはお子さんの成長に時間的な協力をして頂けるという事でしたので、お子さんが自分の思いを伝える技術を磨く手助けをしていただくことにしました。
まずは、「オウム返しをして下さい」とだけお伝えしました。「もう勉強したくないの」とお子さんが言えば、「もう勉強したくないのね」と返すわけです。そうすると、お子さんが自分の気持ちに向き合うチャンスが増えることで、自分の気持ちを伝えるチャンスが増えてきます。
逆に、「勉強をしたくない」というお子さんの言葉に「だめじゃないの」と返してしまうと、お子さんは自分を守るために言葉で言い返すか、自分の殻に閉じこもってしまうしかありません。
家庭教師として
そして、家庭教師の時間では、まずは自分の気持ちを言うことがどれだけ素晴らしい事かを伝え、家庭教師中も解き方を覚える方法ではなく、どう解いていったら良いかを家庭教師とお子さんで話し合いながら進めていく形を取りました。
成績が上がった!
最初の3ヶ月は成績の上では変化はありませんでしたが、親子の会話が劇的に増えました。会話は脳を活性化させるので勉強の上でも重要ですし、何よりお母さんの協力によって会話の時間がお子さん自身の心と向き合う時間になっているので、精神的にも非常にプラスです。
成績で変化があったのは、4ヶ月目の定期テスト。今まで下から数えたほうが早かったのに、ようやく平均点に乗ったのです。これには、本人も非常に喜んでいました。