書籍の紹介:モチベーション3.0
インストラクションのレシピ
理解しやすいインストラクションにするためには、インストラクションに必要な要素を抑えておくことが重要です。
インストラクションに必要な要素は、以下の6つです。
- 目的
- 目標
- 手順
- 時間
- 予測
- 失敗
それでは、家庭でよくある「勉強をしなさい」という言葉を伝えたい場合を例に挙げて説明したいと思います。
目的
インストラクションの目的や意図を考えて話すことは非常に重要です。 しかし、目的を忘れてインストラクションをしていることが私たちにはよくあります。
「勉強をしなさい」というインストラクションの場合、 なぜ勉強をすることが重要なのか、勉強をする目的は何であるのかを私たちが理解している必要があります。 ただ、この問いに対して自信を持って言える答えをお持ちでしょうか? 「勉強をしなさい」という前に、勉強の目的を私たち大人が理解している必要があります。
目標
目的と目標の場合は、目的はつかみどころがないものであるのに対して、 目標ははっきり見えるものであり、目標を達成したかどうかがはっきりわかるものです。
「勉強をしなさい」というインストラクションの場合、子供が勉強をすることが目的です。 つまり、この言葉を発することで子供が勉強をするようになることが目標なのですが、 多くの場合、「勉強をしなさい」と言って勉強をすることはありません。
手順
手順とは、実際の指示内容です。実際にどのように動いてほしいのか、という部分です。
「勉強をしなさい」という言葉には、勉強をするという手順が入っているように見えますが、 具体的に何を勉強すればよいのかについては触れていません。
『それは自分で考えるべきだ』とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。 それであれば、勉強をするという選択も自分で行うべきです。 勉強をする気がない、勉強をしたくない、勉強が嫌いだから勉強をしていないわけです。 もしかしたら、勉強は好きだが休養を取っているのかもしれません。
時間
インストラクションには実行するのに必要な時間の成功が組み入れられるべきです。
「勉強をしなさい」という言葉には、開始時間と実行時間が含まれていません。 おそらく、開始時間は今からなのですが、「なぜ今からしなければいけないのか」という理由が見えません。 また、どれくらい勉強したらよいのかが分かりません。
予測
予測とは、インストラクションについて安心させる要素です。 つまり、受け手がそれを実行するにあたってどんなことが起こりそうかということを示すのです。
例えば、「勉強をしなさい」という場合、勉強をする過程でどんなことが起こるのか、 どんな障害があり、どんな道のりなのかを伝える必要があります。 勉強の障害はさまざまあり、教科によっても異なります。 ですから、お子さんの状態や勉強している教科によって伝える内容は異なります。
失敗
失敗とは、どのような状況に陥ったら失敗なのかということです。 「勉強をしなさい」というインストラクションの場合は、勉強をしない場合がそれに当たります。
しかし、「手順」のところでも述べましたが、勉強をしない事にも理由があります。 その理由を無視してインストラクション、つまり「勉強をしなさい」と行ってしまうと、 お子さんも保護者の皆さんの「勉強をしなさい」という理由を無視して反発してしまいます。
順序もまたノウハウである
インストラクションを行う順序は、上から順番に目的、目標、手順、時間、予測、失敗の順番に話すとうまく伝わります。 「勉強をしなさい」を例に挙げて、一例を挙げてみましょう。
- 目的 この部分は、保護者の皆さんの考え方によって大きく変わってくると思いますし、
- 目標
- 手順
- 時間
- 予測
- 失敗
「勉強」というテーマは非常に大きなものなので、一言で伝わるものでもないかと思います。。 あえて一例を挙げれば、「一定以上の大きさことをしようと思ったら必ず準備が必要で、何を準備すればよいかは勉強すると分かる」などですね。 ただし、勉強についてネガティブなイメージを持っているお子さんの場合には、この言葉は響きません。 まずはネガティブなイメージを払しょくするところから始めるべきだと思います。
目標は、目的に比べれば伝えやすいと思います。 ただ、なぜその目標にすることが妥当かということも合わせて伝えた方がより伝わります。 一例を挙げれば、「今より少しでも上に行くことが大事だから、前回のテストより10点上を目指そう」などですね。
具体的な勉強の手順を指示しますが、一定年齢以上だと指示するより一緒に考えた方が良いと思います。 小学校低学年の場合、勉強する項目を挙げて、出来たら毎日シールを貼るような表を作成すると、 勉強の実績を可視化できて良いと思います。
分からないことが分かるようになることが勉強だという考え方ですと、勉強時間はあまり重要ではありません。 勉強時間より、結果と経過を検証すべきです。 しかし、一定時間何かをする訓練が勉強だという考え方ですと、勉強時間は非常に重要です。 勉強時間を伝える場合、なぜ勉強時間を設定することが重要なのかということを伝える必要があります。
これは各教科やお子さんの状況によって大きく変わります。 重要なのは、お子さんと私たち保護者とは違う人間であるということです。 自分が陥ったミスをお子さんがするかどうかは分かりません。 お子さんの様子をよく観察して、状況をよく把握した状態で予測を伝えることが重要です。
勉強をする上で障害になりそうなものは、今までの生活でだいたいわかると思います。 ただ、障害のすべてを見えているわけではないことに注意してください。
大事なのは、「トライ&エラー」、つまりやってみて失敗して、 そしてなぜ失敗したのかを考えてまたトライするという流れが勉強の本質だということを知ってもらうことです。
※理解を促進するため、一部本書で使われているのとは異なる言葉を使用しています。